塩漬けの目的
塩漬けにする目的は2つあります。
1. 水分を抜く
食材に含まれる水分を浸透圧によって排出することです。保存可能な燻製にするためには、微生物が繁殖できない環境を作ることが何よりも重要です。食材の中にある水分を自由水と言い、微生物はこの水分を好みます。食材に含まれる自由水の割合のことを水分活性と言います。食材の水分活性が低いほど長期の保存が可能ということになります。
2. 味をつける
塩を浸透させるのと同時にハーブや香草などで臭みを取ったり、香り付けすることも可能です。
塩漬け方法
塩漬けの方法は二つあり、食材に直接塩を擦り込む乾塩法(乾塩漬法)と、食材を塩分濃度が10~20%の漬け込み液に漬ける湿塩法(湿塩漬法)です。
方法として広く知られているやり方は、食材に直接擦り込む乾塩法ですが、初めてやる人は失敗することがあります。
食材に対して塩分濃度が均一にならず、味がまばらになってしまうというケースが最も多いでしょう。
その次に、塩辛くなってしまうケース。
この場合は後の塩抜きの工程でしっかり時間をかければ解決します。
湿塩法
湿塩法には、ソミュール液とピックル液という二種類の漬け込み液があります。
ソミュール液とピックル液の違い
ピックル液ソミュール液にスパイスや調味料などを加えたもの個人的に呼び方はどちらでも構わないので、最初に知ったソミュール液に統一しています。
湿塩法
材料 | 食塩水(塩分濃度:15%~20%)
スパイス(クローブ・セージ・ブラックペッパー・ベイリーブス・ナツメグ・ローリエ) ブーケガルニ(タマネギ・セロリ・ニンニク) 酒(ウォッカ・ブランデー・ウィスキー・ラム等) 砂糖70g(砂糖は塩の半分程度が目安です) |
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作り方 | 酒以外の材料を鍋に入れ沸騰させます。20分ほど煮たら火を止め、冷ました後に網で濾し、酒を入れて完了です。 |
道具 | 鍋と漬け込む袋 |
方法 | 食材をソミュール液に漬け込む |
メリット | 食材全体へ均一に塩漬けが可能。
脂が空気に触れないため酸化があまり進まず、出来上がりも水分が多めでジューシな仕上がりになる。 一度に大量の漬け込み液を作っておき、塩分濃度にもよるが1週間ほどは保存可能。 |
デメリット | 漬け込み液を作るのに手間が掛かる。
乾塩法に比べて水分の排出が遅い上、排出される量も少ないため、長期の保存には適さない。 |
解説・注意事項 | ※ブーケガルニとは、数種類の香草の束です。
※セロリやニンニクは香りが強いため、入れすぎに注意 |
乾塩法
材料 | 粗塩(食材に対し5~20%)
スパイス(・ブラックペッパー・ローズマリー等) |
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道具 | ピチットシート(脱水シート)
※上記がない場合はキッチンペーパーとサランラップ(ビニール袋可) タコ糸(食材による) |
方法 | 全ての材料を混ぜてから肉や魚に直接擦り込む。身崩れしやすい食材は湿塩法で行うことが多い。 |
メリット | 直接塩漬けにするこの方法は、浸透圧による効果を発揮しやすく、多くの水分を排出すると同時に余分な脂の排出も期待できます。 |
デメリット | 乾塩法の難点は、味にムラがでやすいということと、キッチンペーパーを用いる場合、毎日交換しないといけない(ピチットシートの場合は2日に一度でも良い)ので手間が掛かります。
食材が含む脂は、空気に触れると酸化して変色してしまいますし、排出されたドリップに食材が浸かっていると傷んでしまいます。 仕上がりにムラができやすいため、何度か挑戦しないと感覚がつかめません。 しかし、上手に漬け込めた場合は、食材の味が格段に増して燻製としての完成度は上がります。 |
解説・注意事項 | ※素手で行う場合は消毒してから作業してください。 |
塩漬けの工程はざっとこんなとこです。
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